ギャラリー1の第1室では、コラージュ・インスタレーションが展示されている。タイトルは「記憶の発掘 Excavating Memories」である。
記憶とそれに対する創作者のふるまいに関しての12のテーマが設定されている。1つの英単語とその意味するものが日本語で表記される。さらに、各テーマにはいくつかのキーワードによってサブテーマが付されている。
さまざまな紙型(主にA4サイズ?)にプリントアウトされた、各テーマを想起、またはテーマに還元させるイメージの断片が、田根氏による(と考えられる)ドローイング(トレーシングペーパーにペン描き)も交えて、壁や床にコラージュされている。
12 themes of Excavating Memories
ACCUMULATION | 記憶は蓄積を繰り返す |
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CLASSIFICATION | 記憶は整理される |
CODE | 記憶と暗号 |
COMPLEXITY | 複雑性に記憶はない |
FICTION | 幻想も記憶である |
IMPACT | 衝撃は最も強い記憶である |
IRREGULARITY | 差異は記憶化される |
MULTIPLICATION | 増殖は記憶を飲み込む |
NARRATIVE | 記憶は継承される |
SYMBOL | 象徴は記憶の原点である |
TRACE | 記憶は発掘される |
TRANSFORMATION | 記憶は変貌する |
壁面や床面は2次元平面であり、コラージュされているアイテムも2次元なのだが、壁と床からなるカルテジアングリッドによって、相互のテーマに立体的な相関関係が生み出されている。最小限の要素を立体的に配置することで複雑な意味を生成しており、まさに建築的な展示方法である。
見るものによってさらに多様な意味が生まれる「思考のインキュベータ」といってもよい。