【概要】
本対談は「都市は思考する」シリーズの第4回目として、また現在開催中の「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」森美術館関連イベントとして開かれた。ゲストは茶人・木村宗慎氏(芳心会主宰)、モデレータには建築設計者の藤村龍至氏。最初に木村氏が「茶の湯」について、これまでの常識にとらわれない独自の見解を示しながら解説され、その後対談形式となり、最後に質疑応答となった。
木村氏の講演要旨は以下の通り。
「市中の山居(しちゅうのさんきょ)」という言葉がある。これは「わび」という概念をよく示している。本来そこにないはずのものを、わざわざ作ってみるという虚構性・仮設性を評価する視座は、「わび」そのものだからだ。
茶室のしつらえは「数寄(すき)」と呼ばれる。これは、とるに足らない粗末なものを集めてくることだ。つまり、茶室というものは、街中に農家の風情を作り込んだ仮設性を感じさせる建物である。また、そこに至るアプローチとしての「路地」も、自然に見えつつ周到に作り込まれている。 茶室のしつらえは「数寄(すき)」と呼ばれる。本来、とるに足らない粗末なものを集めてくることを意味している。つまり、茶室というものは、街中に農家の風情〜正当な美的感覚からすれば取るに足らないもの〜を作り込んだ仮設性を感じさせる建物なのである。また、そこに至るアプローチとしての「路地」も、自然に見えつつ、実際はあるはずのないものを都市の中に周到に作り込まれている。
茶の湯には「もてなし」の文化がある。これは主人と客人という真逆の立場が存在することで初めて成立する関係性である。ちなみに、もてなしとは「おもてうらなし」から来ている。
to be continued.