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180925【シンポジウム】建築家・坂倉準三 パリ‐東京 : パリ万博日本館の建築精神

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9月25日に、10月中旬まで飯田橋のアンスティチュ・フランセ東京で開催中の「建築家・坂倉準三 パリー東京展」に関連したシンポジウムが開催された。先年、パリの日本文化会館で開催された坂倉展の際に作成された約10分間のCGと、今回新たに作成された約10分間の1937年のパリ万博日本館の建築的分析のムービーを中心に、講演と解説がセットになった約3時間の知的エンターテイメントとなった。

第1部は、まず「坂倉準三による無限成長美術館の受容」と題されたムービーが放映され、その後に美術史家の高階秀爾氏による「坂倉準三がル・コルビュジェから学んだこと」についての講演があった。氏は東大在学中に坂倉から直接薫陶を受けており、その貴重な体験を交えながら、坂倉とその師であるコルビュジェの知的な交流や影響関係について紹介された。

続いて、美術史家の高階絵理加氏によるパリ万博日本館の展示物についての詳細な分析があった。史料を元にした実証的な検証は非常に新鮮で、当時210万人が訪れたと言われる日本館の展示の具体的内容に興味を惹かれた。世界に通用する日本という視点から、日本のモノ作りの総力を結集し、国策としてさまざまな物品が準備されたプロセスが明確に示されていた。

第2部は、坂倉の言葉を引きながら、関連作品を分析するムービー「パリ万国博日本館の建築精神」が放映された。その解説として、建築史研究者の山名善之氏は「坂倉のパリでの活動について」、坂倉建築研究所の萬代恭博氏は「日本館の建築について」、前田建設の曽根巨充氏は「BIMによる空間のアーカイブ」という各テーマでのプレゼンテーションが行われた。

高階両氏の講演は建築専門外の研究分野からの情報提供であり、建築史的なアプローチとは異なる観点が感じられて、テーマの立体的な理解に資するところが大きかった。なお、登壇者全員による活発な討議はスケジュールに含まれておらず、専門家が集まる折角の機会を十分に生かし切れているのかどうか、運営側の意図が分かりにくい感じを受けた点は否定できないといえよう。

http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/symposium-sakakura/

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