
建築を作るときのロジックとして、未来のことを考えるのではなく、過去から考えるという態度が田根建築の基本である。従って、敷地に残る過去の記憶を掘り起こす作業が設計行為の最初に行うべきこととなる。
今回のオペラシティーでの展示では、その設計プロセスの時系列に沿って、展示が構成されている。まず、エントランス部分では建築廃材のオブジェとともに「未来の記憶」についてのテキストが掲示されていた。
次の部屋は「記憶の発掘」として、さまざまなイメージが壁や床にコラージュされる。博物学的なイメージが喚起される展示である。キャプションによれば、記憶が考古学的にリサーチされているのである。
その奥には、エストニア博物館の館内の様子が撮影されたムービーが放映されている。展示室のコーナーに直交するように2面の壁をプロジェクターのスクリーンとして用いている。
プロジェクションを抜けると、模型展示室となる。「建築の構築」と題され、7つのプロジェクトの模型が、映像・イメージソースとともに展示されている。それぞれのプロジェクトの展示は明確に区切られることなく、廃材を利用して垂直に立てられた展示スタンドの密度の濃い場所が一応の境界領域となっている。
今回の模型室でもっとも目立つのが、エストニア博物館の1/50(たぶん)模型であろう。全長350mなので、1/50にしても、本体だけで7mある模型が置かれていた。
田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future―Digging & Building
会期:2018/10/19〜12/24
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
開館時間:11:00〜19:00、金・土11:00〜20:00(最終入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(12月24日は開館)
http://www.operacity.jp/ag/exh214/
【同時開催】田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future―Search & Research
会期:2018/10/18〜12/23
会場:TOTO ギャラリー ・ 間
住所:東京都港区南青山1-24-3 TOTO 乃木坂ビル3F
開館時間:11:00〜18:00
休館日:月曜・祝日(11月3日、12月23日は開館)